小腸の仕組みと働きの解説

小腸の働き・役割の解説。小腸はどんな機能をもっているの?小腸の長さが変化するって本当?

◆小腸の働き・役割の解説(もくじ)

◆小腸の仕組みと働き~小腸の役割は何だろう?~

 小腸の仕組みと働きって前回の十二指腸の勉強とちょっと関係がありそうだね。

 うん、十二指腸は小腸の一部として捕らえることもできるからね。
だから小腸と十二指腸の働きでは同じような働きをする部分もとっても多いんだ。
尚、十二指腸についての解説は前回の第7講「十二指腸の働き」の項目をチェックしておこう。

 たしか小腸ってお腹の真ん中ぐらいの位置にあってぐにゃぐにゃしてるんだったような・・・・
いったいどんな働きをもっているのかちょっと楽しみかも?

 そうだね、小腸のイメージってお腹の中でぐるぐるまわっているようなイメージが大きいかもしれない。
このようにぐるぐるまわっているのもちゃんとした理由があるんだけどね。
では早速今日のテーマ「小腸の仕組みと働き」について解説していくよ。

◆小腸の本当の長さはいったい何メートルくらい?

 ねぇドクター。十二指腸の働きを勉強した時に小腸全体の長さは約6~7メートル前後の長さがあるって言ってたよね。

 うん、そうだね。
個人差はあるけれど約6~7メートル前後だったよね。

 でも、小腸の長さが本当にそんなに長かったらお腹の中にとても納まりきらないんじゃないのかなぁ?
6メートルの長さって大またで歩いて6歩くらいの長さでしょ。結構長いと思うんだよね。

 確かに6メートルの長さの小腸がお腹の中にしっかり納まりきっているのは不思議かもしれないね。
実はこれだけ長い小腸がしっかりお腹に収まっているにはちょっとした体の不思議な仕組みが関わっているんだよ。

 えっ!どんな仕組み?
知りた~い。

◆生きている時の小腸の長さは本来の長さよりも短くなっている

小腸の位置はわかりやすく言うと、お腹のやや下方、下腹部あたりの場所に小腸はある。
下腹部内では小腸がぐにゃぐにゃと曲がりながら集まっているんだけど、さすがに6~7メートルもの長さになると実はここに収まりきることができないんだよ。
ではどうやってしっかりと下腹部に収まっているのだろうか?
そのカラクリは、実は筋肉の働きが関与しているんだよ。

 筋肉?

 そう、小腸の長さは確かに6メートル程度の長さになる。しかし人間の体内では筋肉が引き締まることでこの小腸の長さは半分以下の約2~3メートル程度にまで縮められているんだ。

 そんなに短くなっているんだぁ。それならちゃんとお腹の中に納まりきる長さになってる感じもするよ。
でも、もし本当に短く縮まっているならどうして小腸の長さは6メートルって言われているの?

 小腸が6~7メートルの長さと言われているのは、人体を解剖した時に取り出した小腸の長さを測定した長さを基準としているからなんだ。
人間は誰もがいつか亡くなるけれど、亡くなった後の人体では筋肉は弛緩(ゆるんでいること)している為、本来の長さに戻るんだよ。

【小腸の長さは変化する】
小腸の本当の長さは平均的に6~7メートル程度。しかし生きている人の小腸の長さは2~3メートル程度にまで収縮している。

◆小腸の最大の働きは「消化」と「吸収」という2つの役割

 小腸を図で見てみるとなんだかぐにゃぐにゃしていて不思議な感じがするよ。

 うん、小腸は大切な役割を果たす為にも、ある程度の長さが必要なんだ。
でも真っ直ぐには入りきらないからあのようにぐにゃぐにゃした形状で収まっているんだよ。

 小腸の働きっていったいどんな働きがあるの?

 小腸の最大の働きは「消化」「吸収」、特に栄養素の吸収をメインに行っているのが小腸なんだよ。

◆小腸は1日に約7~8リットルもの水分を吸収する

小腸の働きの中でも最も重要な働きは、食べ物や飲み物を胃や十二指腸ともに消化すること。そして分解した栄養素を吸収することにある。
特に小腸では十分に分解された栄養素を含む水分を大腸とともに吸収する役割があるんだ。
尚、小腸が1日に吸収する水分量は成人の場合、1日に約7リットル~8リットルもの量になる。
また大腸も1リットル~1.5リットル近くの水分を吸収するため、小腸と大腸だけでも9リットル近い水分の吸収を行っているんだよ。

【小腸の働きの代表は栄養素を含む水分の吸収】
小腸は1日に約7リットル~8リットルもの水分を吸収する

 胃や十二指腸で何度も消化作業が繰り返されているのは、この小腸で栄養素を吸収しやすい状態にする為だったんだね。

◆小腸と大腸の働きの違いって何だろう?

 ねぇドクター。小腸と大腸ってどんな違いがあるの?
小腸って言うくらいだから小腸が小さくて大腸が大きいって感じ?

 いや、小腸と大腸の大きさは小腸の方が長くて大きいからそれはちょっと違うかな。
小腸と大腸の主な違いは、その役割分担部分にあるんだよ。

 役割分担?

 うん、どちらも腸としての大まかな働きは一緒なんだけれど細かい部分で役割にちょっとした違いがあるんだ。

◆大腸は小腸で栄養分が吸収された後の飲食物からも更に水分を吸収する

小腸も大腸も同じ腸として消化された飲食物を吸収するという大切な役割を持っている。
但し、小腸と大腸の違いをあげるとするならば、小腸は栄養素や水分の吸収作業だけでなく積極的に消化作業も行っている点にある。
特に小腸の入り口部分にあたる十二指腸では、大十二指腸乳頭(ファーター乳頭)から膵液や胆汁を取り込み胃である程度消化された飲食物を更に細かく丁寧に分解・消化しているんだよ。
また大腸は小腸である程度消化された後に流れてくる栄養分が吸収された後の飲食物からも更に水分を吸収する働きがあり、小腸以上に吸収力の高い構造であるとも言えるんだよ。

【小腸と大腸の働きの違い】
どちらも吸収を行うが、小腸では消化と吸収作業がメイン、大腸では吸収作業がメインで行われる

◆ブドウ糖(糖分)が小腸内で吸収される仕組みを見てみよう

 小腸が食べ物を吸収する仕組みが少しずつ見えてきた気がするよ。

 そうだね、ここまでに小腸と十二指腸の仕組みを学んできて少しずつ消化吸収の流れが見えてきた頃かもしれないね。

 うん♪

 ではここでもう一度おさらいとして糖分が吸収される場合のケースを例に小腸の吸収の流れをチェックしてみることにしよう。

◆小腸でのブドウ糖の吸収のメカニズム

小腸で行われている糖分の吸収の過程ではまず最初に胃である程度消化された糖分が十二指腸に流れこむことからスタートするんだ。
十二指腸ではファーター乳頭から膵液と胆汁が分泌されて、特に膵液に含まれる消化酵素は炭水化物(糖分)やたんぱく質を消化する。
十二指腸である程度消化された糖分は象徴が分泌する「腸液」で更に分解され小腸の「絨毛(じゅうもう)」の表面にあるブラシ状の組織である微絨毛を通して一部が吸収される。
また糖分は小腸内で「ブドウ糖」・「果糖」・「ガラクトース」などの最小単位にまで分解されて毛細血管に吸収されるんだよ。

【小腸でのブドウ糖の吸収のメカニズム】
糖分は小腸内で「ブドウ糖」・「果糖」・「ガラクトース」にまで分解され吸収される

 ブドウ糖って脳が働く時のエネルギーになる成分なんだよねぇ。

 おっ!ポンちゃん良く知っているね。
確かにブドウ糖は脳のエネルギー源として最も重要な栄養素のひとつだね。
尚、小腸で糖分はブドウ糖や果糖にまで消化されるけれど、この2つが合わさると何になるかわかるかな?

 う~ん?サッパリわかんないや。

 答えは「砂糖」だよ。砂糖はもちろん甘いよね。
例えば受験生が今から勉強をがんばるぞ~!って気合を入れる時には、気合いだけでなく脳をフル回転させる為にも甘いものを食べておくと良い。
チョコレートやあめ玉を食べると良いと言われているのも糖分が脳のエネルギー源になっているからなんだね。