僧帽弁の仕組み・構造・働きの解説

心臓弁のひとつである僧帽弁の構造・働きの解説。狭窄症・逸脱症・閉鎖不全症とは何だろうか?

◆僧帽弁の仕組み・構造・働きの解説(もくじ)

◆心臓の左側に病気が発症しやすい原因と理由

 ねぇドクター。僧帽弁(そうぼうべん)の場所は心臓の左側にあるんだよね。

 うん、僧帽弁は左心房と左心室の間にあるよ。

 え~っと、左心房(さしんぼう)は左右の肺をまわる肺循環で酸素をたっぷり含んだ血液が流れてくるところだったかな?
そして、流れてきた血液は左心房から左心室に運ばれてぇ、それで左心室の強力な心臓ポンプで血液が全身に送られる(体循環)だったよね。

 うんうん、ポンちゃんばっちりだね。左心室にある心臓ポンプは最も強力なポンプ。
肺循環を行う右心室のポンプよりも体循環を行う左心室のポンプの方がたくさんの力が必要になるからだね。
そしてたくさんの力が加わるということは、心臓の右側にある右心房や右心室よりも心臓の左側にある左心房や左心室のほうが大きな圧力(あつりょく)を受けることになる。
その為、心臓の病気の多くは負担の大きい左側の心臓に発生しやすい傾向があるんだよ。

※心臓は左側の方が負担が大きい

 じゃあ僧帽弁は左心房と左心室の間にある弁だから大変だね。あと左心室から大動脈につながる大動脈弁(だいどうみゃくべん)も大きな負担がかかっているってことになるのかなぁ?

◆心臓弁の役割は血液の逆流の防止!

心臓は4つの部屋にわかれていたよね。そしてこの4つの部屋の出口には心臓弁と呼ばれる弁がある。

僧帽弁(左房室弁)は、左心房と左心室の間にある弁だったよね。

そして大動脈弁は左心室から血液を大動脈へ送りこむ左心室の出口にある。

同様に、右心房と右心室の間には「三尖弁」と呼ばれる弁があり、肺動脈へ血液を送り込む右心室の出口には肺動脈弁と呼ばれる弁があるんだ。

※心臓にある弁は「僧帽弁」「大動脈弁」「三尖弁」「大静脈弁」

 どうして4つも弁があるの?

 この弁の役割はね、血液の逆流を防止するためにあるんだよ。  昔はね、多くの人が血液は体中をぐるぐると自由に必要なところに流れていると思っていたんだ。
血液の流れを詳しく調べる技術がまだ備わっていなかったからね。
しかし、イギリスの医学者である「ウィリアム・ハーヴィー」は、心臓を中心に血液が全身を循環していることを研究によって発見したんだよ。
そして、心臓からの血液の流れは一定方向にのみ進んでいることの証明のためにさらに研究を続け、血流(けつえきのながれ)の方向を決めるために一定方向にしか血液が流れない仕組みとして心臓弁があることを見つけたんだよ。

※心臓弁は血液の逆流を防止するための器官

 うぃりあむさん凄い!

 また、ウィリアム・ハーヴィー博士は動脈と比較すると圧力が弱まり逆流する可能性の静脈血管内にも弁があることを証明したんだよ。

※静脈血管内にも静脈弁と呼ばれる小さな弁組織が備わっている