僧帽弁の仕組み・構造・働きの解説

心臓弁のひとつである僧帽弁の構造・働きの解説。狭窄症・逸脱症・閉鎖不全症とは何だろうか?

◆僧帽弁の仕組み・構造・働きの解説(もくじ)

◆第6講〜僧帽弁の仕組み・構造を学ぶ〜

 今日はいよいよ心臓の内部にある心臓弁の学習に入るんだよねぇ、楽しみだ〜!
 心臓弁は心臓の中にある弁で、たしか何個かあるんだったよな。

 よし、今日は心臓弁についての学習、心臓弁の中でも心臓の左側にある僧帽弁という弁を中心に学習をしていくよ。

 僧帽弁でしょ、うん知ってる知ってる。最近は心臓や体のしくみや構造がわかってきてるんだよねぇ♪

 いい感じだね。今日は心臓弁にはどのような種類の弁があるのか?そして心臓弁はどのような働きや役割をもっているのか?
 更に心臓弁の病気である心臓弁膜症(しんぞうべんまくしょう)についてチェックしていくよ。

 心臓弁膜症?

 そう、心臓弁膜症。心臓弁膜症という病気は心臓弁に何らかの異常を発症する疾患で狭窄症と閉鎖不全症と呼ばれる症状を発症する疾患のこと。
 心臓弁膜症は、「リウマチ熱」「心内膜炎」、そして心筋梗塞などとも関連性があるんだけど、初期段階ではなかなか自覚症状を確認しづらい疾患のひとつなんだ。

◆心臓の左側に病気が発症しやすい原因と理由

 ねぇドクター。僧帽弁(そうぼうべん)の場所は心臓の左側にあるんだよね。

 うん、僧帽弁は左心房と左心室の間にあるよ。

 え〜っと、左心房(さしんぼう)は左右の肺をまわる肺循環で酸素をたっぷり含んだ血液が流れてくるところだったかな?
 そして、流れてきた血液は左心房から左心室に運ばれてぇ、それで左心室の強力な心臓ポンプで血液が全身に送られる(体循環)だったよね。

 うんうん、ポンちゃんばっちりだね。左心室にある心臓ポンプは最も強力なポンプ。
 肺循環を行う右心室のポンプよりも体循環を行う左心室のポンプの方がたくさんの力が必要になるからだね。
 そしてたくさんの力が加わるということは、心臓の右側にある右心房や右心室よりも心臓の左側にある左心房や左心室のほうが大きな圧力(あつりょく)を受けることになる。
 その為、心臓の病気の多くは負担の大きい左側の心臓に発生しやすい傾向があるんだよ。

※心臓は左側の方が負担が大きい

 じゃあ僧帽弁は左心房と左心室の間にある弁だから大変だね。あと左心室から大動脈につながる大動脈弁(だいどうみゃくべん)も大きな負担がかかっているってことになるのかなぁ?

◆心臓弁の役割は血液の逆流の防止!

 心臓は4つの部屋にわかれていたよね。そしてこの4つの部屋の出口には心臓弁と呼ばれる弁がある。

 僧帽弁(左房室弁)は、左心房と左心室の間にある弁だったよね。

 そして大動脈弁は左心室から血液を大動脈へ送りこむ左心室の出口にある。

 同様に、右心房と右心室の間には「三尖弁」と呼ばれる弁があり、肺動脈へ血液を送り込む右心室の出口には肺動脈弁と呼ばれる弁があるんだ。

※心臓にある弁は「僧帽弁」「大動脈弁」「三尖弁」「大静脈弁」

 どうして4つも弁があるの?

 この弁の役割はね、血液の逆流を防止するためにあるんだよ。  昔はね、多くの人が血液は体中をぐるぐると自由に必要なところに流れていると思っていたんだ。
 血液の流れを詳しく調べる技術がまだ備わっていなかったからね。
 しかし、イギリスの医学者である「ウィリアム・ハーヴィー」は、心臓を中心に血液が全身を循環していることを研究によって発見したんだよ。
 そして、心臓からの血液の流れは一定方向にのみ進んでいることの証明のためにさらに研究を続け、血流(けつえきのながれ)の方向を決めるために一定方向にしか血液が流れない仕組みとして心臓弁があることを見つけたんだよ。

※心臓弁は血液の逆流を防止するための器官

 うぃりあむさん凄い!

 また、ウィリアム・ハーヴィー博士は動脈と比較すると圧力が弱まり逆流する可能性の静脈血管内にも弁があることを証明したんだよ。

※静脈血管内にも静脈弁と呼ばれる小さな弁組織が備わっている

◆心臓弁膜症って何だろう?

 心臓弁は血液の逆流を防止するためにあるとっても大切なそしきなんだね。
 せっかく心臓が一生懸命血液を流してくれているのに、もし逆方向にいってしまったら大変だもん。

 そうだね、心臓弁がもしなかったら、血液の逆流がおきてしまう。
 そして、せっかく酸素いっぱいになっている空気がしっかり送り込まれなくなってしまったり、二酸化炭素や老廃物を静脈を通して回収してきた血液を人体へ戻してしまうことになるよね。

 こわ〜い!心臓の弁がうごかなくなっちゃたりすることってあるの?

 うん、この心臓の弁が正常に働かなくってしまったり、弁が逆方向に向いてしまったりする病気が実はあるんだよ。
 心臓の弁膜に異常を生じるこのような疾患を「心臓弁膜症(しんぞうべんまくしょう)」と呼ぶんだ。

※心臓弁に異常が発症する疾患の総称を心臓弁膜症と呼ぶ

◆心臓弁膜症は狭窄症と閉鎖不全症の大きく2種類がある

 心臓弁膜症は心臓にある4つの弁(「僧帽弁」「大動脈弁」「三尖弁」「大静脈弁」)すべてで発症する可能性のある疾患なんだ。

 心臓弁膜症の基本的な症状は弁が開かなくなってしまう「狭窄症(きょうさくしょう)」と開いた弁がしっかりと閉まらなくなる「閉鎖不全症(へいさふぜんしょう)」の2種類。

 弁が十分に開くことができなくなる狭窄症の場合は、血液の流れが鈍くなってくるため、血液が長時間同じ場所にとどまり、やがて固まってしまったりする。

 閉鎖不全症の場合は、開いた弁がしっかり閉じないため、弁の隙間から血液が逆流してしまったりするんだよ。

 そっかぁ、心臓の弁がしっかり働いてくれていることはありがたいことなんだね。

※心臓弁膜症は狭窄症と閉鎖不全症の大きく2種類に分類される

◆僧帽弁逸脱症の症状の特徴

 心臓弁膜症には狭窄症と閉鎖不全症の2種類の弁膜症があるんだぁ。

 うん、そして僧帽弁には「僧帽弁逸脱症(そうぼうべんいつだつしょう)」と呼ばれる弁膜症もあるんだ。(※僧帽弁逸脱症候群も同意)

 僧帽弁逸脱症?

 そう、この僧帽弁逸脱症の「逸脱」という言葉の意味は、「本筋から外れる」という意味や「決められている範囲からそれてしまう」という意味がある。
 だからね、本来僧帽弁がしっかり役割を果たすことができる場所から外れてしまうことを意味しているんだ。

 じゃぁこの病気になってしまったら僧帽弁はどこかにいってしまうってこと?

 うん、実際には僧帽弁の位置、場所が変化するわけではないんだけどね。僧帽弁の方向が変わってしまい血液の逆流を防止する機能が果たせなくなってしまう病気が僧帽弁逸脱症と呼ばれる疾患なんだ。

※僧帽弁逸脱症は弁の役割を果たせなくなる心臓弁膜症の一種

◆僧帽弁の構造・僧坊弁はパラシュート形状

 僧帽弁の構造はね、左心室へ血液を送り込む左心房の出口部分に2つの幕状でできている弁構造をしている。

 弁の数が2つであることから右心房・右心室間にある三尖弁に対して二尖弁とも呼ばれることがあるんだ。

 この僧帽弁の弁はパラシュートのような形状をしていて通常は左心室の下部にある組織と結合して左心室側に引っ張られる形で伸びている。

 しかし、僧帽弁逸脱症の患者の場合は、このパラシュート状の僧帽弁が左心房側に一部入り込んだ状態となってしまっている。(本来の位置からずれている=逸脱)

 僧帽弁がしっかり閉まらないような状態になってしまう症状をもたらす病気のことを総称して僧帽弁逸脱症と呼んでいるんだよ。

※僧帽弁逸脱症とは僧帽弁が左心室側に入り込んだ状態となる心臓疾患

 心臓弁が閉まらないってことは、さっきお勉強した心臓弁閉鎖不全症ってこと?

 そうだね、名称は異なるけれど、実質的な意味は閉鎖不全症と同様だね。
 僧帽弁逸脱症になると、僧帽弁がしっかりと閉まりにくくなるため、本来の左心房から左心室への血流が、左心室から左心房へと血液の逆流を発症してしまう可能性が出てくるんだよ。

 でも、どうして普段はしっかりと左心室側に向いていた弁が突然左心房側に入り込んでしまったのかなぁ?

 僧帽弁逸脱症の明確な発症原因はまだ解明されていないんだよ。
 ただし、「リウマチ熱」「心筋梗塞(しんきんこうそく)」「心内膜炎(しんないまくえん)」「拡張型心筋症(かくちょうがたしんきんしょう)」などの心臓疾患が引き金となって僧帽弁逸脱症が発症している可能性が高いことは確認されつつある。
 この疾患は血液の逆流を伴う危険な病気で、急激に症状が悪化し突然死をもたらす可能性をもつ疾患でも心臓弁膜症でもある。
 だからね、人工弁を装着する手術で弁そのものを交換する手術も行われているんだよ。

◆僧帽弁の病気や構造をおさらいしよう!

 心臓にはよっつの弁があって、そのひとつが僧帽弁っと。そしてこの僧帽弁だけでも、僧帽弁逸脱症とか狭窄症、そして閉鎖不全症とかいろんな弁膜症があるんだね。

 心臓弁膜症は基本的に2種類の疾患があるんだったよね。それが狭窄症と閉鎖不全症。
 この狭窄症と閉鎖不全症はどの心臓弁においても発生する可能性のある弁膜症。

 ふむふむ…なんとなくわかってきたぞ〜♪

 では、おさらいとして心臓弁膜症の種類を最後にもう一度確認してみようか?

 は〜い!

◆心臓弁膜症のまとめ

 心臓弁膜症のおさらい、まとめを一気にチェックしていくよ。

 まず心臓は右側と左側に分かれていて体循環を行う左側の心臓にかかる負担は大きいため、心臓弁膜症の多くは心臓の左側にある僧帽弁と大動脈弁に集中する傾向にある。
 発症割合は、左側がおよそ9割と大半を占めているのが実情なんだ。

※心臓弁膜症のおよそ9割は僧帽弁と大動脈弁に発症する

 次に心臓弁膜症には「狭窄症」「閉鎖不全症」の2種類の症状分類があり、すべての心臓弁にそれぞれ狭窄症と閉鎖不全症を発症する可能性がる。

 さらに僧帽弁には僧帽弁逸脱症と呼ばれる僧帽弁の位置が左心房側にめくれてしまう心臓弁膜症がある。

 これを表でチェックしてみると以下のようになる。

心臓弁膜症のまとめ
病名分類心臓弁の名称と位置疾患名称
心臓弁膜症左心(心臓の左側)僧帽弁(そうぼうべん)
左心房と左心室の中間
僧帽弁狭窄症
僧帽弁閉鎖不全症
僧帽弁逸脱症
大動脈弁(だいどうみゃくべん)
左心室と大動脈の中間
大動脈弁狭窄症
大動脈弁閉鎖不全症
右心(心臓の右側)三尖弁(さんせんべん)
右心房と右心室の中間
三尖弁狭窄症
三尖弁閉鎖不全症
肺静脈弁(はいじょうみゃくべん)
右心室と肺静脈の中間
肺静脈弁狭窄症
肺静脈弁閉鎖不全症

 この表を見ながら後で復習しておこうっと!